続・Jフォンの男 ~そして伝説へ~

保険証偽造事件から間もない頃、僕は仕事後の朝四時くらいにお店の売り上げを持って家に帰っていた。すると突然背後から何者かの気配がした。その瞬間二人の男が僕の手を捕まえた。
「お兄さん、ちょっと来てくれないかな。」
僕は瞬時に「こりゃヤバい」と悟った。相手は中学生か高校生くらいの若者である。これは俗にいう「おやじ狩り」であろう。その若者は僕の両手を強くつかんだまま「ちょっとそこの公園に来てもらえるかな?」という。僕は彼らの言うなりに歩いた。彼らが歩く方向から察するとその公園は“八坂公園”であろう。八坂公園は僕の住んでいるマンションのすぐそばにある。しかしこのままでは僕自身とお店の売り上げが危ない。何とかしなければ・・・・逃げるとしてもほろ酔い状態で荷物も多く抱えたまま逃げ切る自信もない。ましてやこの状態で二人相手に喧嘩する度胸もない。このような若者がどんな凶器を隠し持っているか分からない。僕はこれで終わってしまったのか・・・・

絶望の中歩いていると前方に一軒のBARの明かりを見つけた。
「明かりがついているということは営業中だろう。よし、一か八か隙を見てそのBARに飛び込もう。この作戦がダメだったら観念しよう。」
僕はその若者の気をそらすために、わざとどうでもいい世間話を始めた。若者も気を抜いたのであろうか、その話に乗ってきた。話しながら歩き、そのバーの扉が近づく。そしてそのBARの入り口に差しかかった瞬間、僕は若者の手を振りほどき、そのBARに飛び込んだ。若者は「おい!」と言ったままBARには入ってこなかった。

BARはほぼ満席だった。BARのマスターとお客さんは飛び込んできた僕を見て唖然としている。僕は驚かせたことにお詫びをし、今までの経緯を話した。するとそのBARのマスターは「じゃあしばらくここでじっとしていたらいいよ。別に飲まなくてもいいからさ。」と言ってくれた。それでは悪いのでお酒を注文し、しばらく時間をつぶすことにした。
一時間以上が経過したので「そろそろ大丈夫だろう。」と思いBARを出ることにした。マスターが「危ないから家の近くまで送ってあげるよ。」と言ってくれた。本当に優しい人だ。僕はその好意に甘えて近くまで送ってもらうことにした。家の近所まできたので僕は「もう誰もいないので大丈夫でしょう。本当にありがとうございました。」とお礼を言い別れた。
僕の家は問題の八坂公園の横を通り過ぎなければ帰れない。八坂公園に近づき恐る恐る公園を見てみるとなんと30人くらいの若者の集団がいた。その瞬間「あ、さっきのあいつだ!」という声が聞こえたような気がした。数人の若者がこっちに向かって走ってくる。
「ヤバイ」そう思った僕は最後の力を振り絞ってダッシュでマンションに入った。
「こりゃ本当にヤバいなぁ・・・・なんとかしなければ・・・」
物騒な事件が立て続けに起こったので、自分を守る手段を考えた。
「防犯グッズだ!」
僕はその直感を信じた。ネットで防犯グッズを調べ、様々な状況から考え、二つのアイテムを常時持つことにした。一つは催涙スプレー。もう一つは警棒である。催涙スプレーはとりあえず目をつぶして逃げてやろうと。警棒は威嚇のためである。これで完璧とは言えないが無いよりはあった方がましである。
しかしその考えが新たなトラブルを引き起こすとは思ってもみなかった。

続く
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by leclub-matsuyama | 2009-07-23 20:23
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