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麗しのバイオレット

ヘルメスのバイオレットリキュールが入りました。
何故かと言いますとある目論見が・・・
(たかが僕個人の意見なので「違う!」と思う人はそう思ってください。それは正解ですから。その他の皆様も鵜呑みにしないようにしてください)
ある年代の方はバイオレットフィズをよく飲んでいたと聞きます。カウンターに座り「懐かしのバイオレットフィズでも飲もうかな・・・昔はよく飲んでいたねぇ・・・」というオーダーをよく受けるんです。味はもちろん、あの鮮やかな色に思い出を重ねて楽しんでいるのでしょう。しかし飲んだ後たまに「でも・・・こんな色だったかなぁ・・・・」と言われることがあります。確かに当時と使っているものと同じものではありませんし、恐らくリキュールのメーカーも違う。副材料もアプローチも違う。照明も雰囲気も
「そりゃ今と昔はモノ自体が違っていますからね。」と言えば正論なのですが、このカクテル(バイオレットフィズ)とブルームーンだけは思い入れを重視して作りたいという僕の個人的見解があるんです。だから「今と昔は違う」と頭ごなしに言いたくない。言うにしても研究を重ねた結果を飲んで欲しいと言いたい。
昔は今のようにエアーを入れてシェイクという概念を持つバーテンダーは少なく、シェーカーを八の字(八の字主張組については別の機会に)「カタカタカタ」と軽めに振って注ぐという手法をとっていたという話を聞きます。当時を知る人の話や、当時から現役で今でもバーテンダーをしている人の話、昔のカクテルブックなどを見て思ったのですが、おそらく当時のブルームーンやバイオレットフィズにおいてのシェイクはその手法をとることによって極度の混ざりによる濁りがなく、リキュールの色彩がダイレクトに現われています。
(話は少しずれますが)いろいろ試して思ったのですが、リキュールや甘味を多用するクラシカルなカクテル(昔は甘いものが高級と言われていた)は気合入れて混ぜこんでエアーを入れるよりは、ある程度冷やして氷も溶け程よく水が入り「トロン」とした感じで仕上げるととても美味しいです。チェリーブロッサムや青い珊瑚礁などですかね。「ベースのお酒+リキュールで合わせて60ml。副材料入るとしたら少しだけ」というカクテルです。混ぜすぎ冷やしすぎは禁物のような気がするカクテルです。しかもカクテルグラスに並々入れる方がよりクラシカルと言えるでしょう。
バイオレットフィズの話に戻りますが、今主流の振り方で作るとバイオレット色に濁りが加わり「乳白色+紫色」のような感じになります。もちろんレモンジュースも入っているのでその要因は大きくなります。フレッシュのレモンジュースを使えばもっと色は濁りを増します。この手法だと混ざりはいいですし冷えもいい。現代の嗜好に合った「さっぱりしたロングカクテル」になるでしょう。しかし肝心の色彩が薄くなってしまっている。時間がたてば多少戻るかもしれませんが、やはり出てきたときのインパクトは全く記憶と違うものになるでしょう。お店の照明が暗いと「いったいこれって何色!?」と思うくらい発色が悪くなります(一瞬灰色に見えることもあるくらいです)。
その昔、一回試したことがあるのですが、おそらく当時使われていたバイオレット(ヘルメス)に市販のレモンジュース、ガムシロップでバイオレットフィズを作ったんです。その時はシェークせずにあえてビルドで。ガムシロップも多めで甘く仕上げました。すると当時のバイオレットフィズが好きだったお客様は「確かにこんな感じでしたね。確かに懐かしい。でも今の私にとっては甘めかな?でも当時はそういう甘いカクテルをたくさん飲んで酔っていた記憶もあるし、カクテル自体甘いものだという先入観もあった・・・思い出は思い出ですけど、それがいいのか悪いのか私には分かりません。」とのことでした。
昔の本の色やレシピと見比べたり、このような話を聞くと恐らくこういうアプローチが当時の味に近いのではないだろうかと思います。しかし先程の話にあるように「だからそれが正解か!?」と問われると答えに窮します。正解は無いのでしょう。喜ぶ人もいれば、そうでない人もいる。おぼろげな思い出が良かったところに現実を突き付けられて覚める方もいらっしゃると思います。だからこそ逆に「突き詰め」ようと思います。その研究結果は自分の糧となると思います。それを出すか出さないかはやはり「テンダー」の部分に委ねられるのでしょうね。雑学を覚えたからと言ってすぐ友達に「これって知ってる?」と言う人がいます。それじゃダメなんでしょうね。然るべきところで使いこなして初めて物事が成立するのですから。
僕個人の経験ですが、ブルームーンというカクテルに強い思い入れを持っている方は多いのではないでしょうか?もし知らないお客様が「私には実は思い入れのあるカクテルがありまして・・・」と言い「ブルームーンでしょ?」と言うと「何でわかるんですか!?」という答えが返ってくる確率は高いと思います。まあ言いませんけどね。「好きなカクテル」ではなく「思い入れのあるカクテル」ですよ。もちろん他のBARでは分かりませんが、僕がカウンターに20年以上立ち続けて思った事です。確かにこのカクテルの味と色彩は日常生活ではお目にかかれない感じですし、非日常の要因が強いでしょうし、BARらしいドリンクではないでしょうか。このカクテルを作るときはまず「自分のレシピで作るか」「どの時代の思い入れか」「思い入れではなく只今単純に飲みたいのか」などいろいろなことを巡らせます。もちろん他のカクテルでもいろいろ頭を働かせますが、このカクテルを作った後にお話しすると本当に素晴らしい話が聞けることが多いのです。
でも材料をそろえればいいってわけじゃないですし、こっちの主張だけを押しつけてもいけないわけです。だからこそ正解はない。正解はないですが、こちらからアプローチするにあたってのカードは多い方がいい。多いと言うより、小さな積み重ねが積み重なったカクテルほど素晴らしい。でも「俺ってこんだけやってるんですよ」という主張はいらない。その押しつけがましい主張が消え、集中力を込めた瞬間に心が入るのではないでしょうか。お、なんか僕いいこと言っているような気がしますね。
というわけで今日も仕事後は練習したいと思います。まずは何より自分達がそれを楽しむことですね。これがなければ一歩も進みません。本当に楽しいですよ。お酒が飲めて良かったです。フル稼働の肝臓に感謝です。
PS仕事後の試作を終えて・・・
イメージだけでは理想をかなえることは無理です。
分かったのは「時代に流れに対応せよ」です。
「前に飲んだからこういう味だろう。」
これは危ない!とりあえず今の味を飲みましょう!危ないですよ!
スタッフ一同愕然としています。

奥が深いというより・・・説明がつかない・・・

あえて結果は言いません・・・

もっと勉強します!今日の研究結果から言えることはそれだけです。
by leclub-matsuyama | 2010-01-21 05:19
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