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ジントニック再考

カクテルは全てそれぞれのお店にそれぞれの味があります。よく「マティーニはバーテンダーの数だけレシピがある」といわれますが、マティーニだけでなく全てのカクテルにいえることです。
自分で作り続けて悩み、色々なお店で刺激を受け、熟考し、研究を重ね、夢の中でも練習し、営業中の動線に乗せることをします。
かつてHPで当店のジントニックのレシピ詳細を載せました。そして自分自身に叩き込むように(あくまでも)当店のジントニックの重要項目を書いておきます。(レシピは省いています)
①白濁
②融合
③泡切り
この三つが主なポイントです。
①の白濁ですが、細かく言えば「氷を若干溶かし、溶けた水を味わいの一つに加える」。もっといえば「その氷が解ける(溶かす)タイミングは作る工程のある一瞬」ということ。その他のタイミングで氷が溶けた場合、②の白濁に繋がらず、黄色っぽいどんよりとした色合いになるということ。全ての工程において氷が必要以上に溶けないよう注意します。しかしある工程だけは氷をわざと溶かすような動きを入れます。

②の融合は単純な「混ざる」ということではありません。たとえばグラスにウイスキーを入れ、水を入れただけでその二つの液体は比重の関係で混ぜなくても一応混ざります。(よく見るとウイスキーが水の中でモヤモヤと揺蕩っているのが見えます)それをグルグルすると混ざるのですが、その回転のスピードと回転させる時間によって「混ざる」を超える「決まる」という状態になります。「決まる」という状態は、この先時間がたっても元の味を比較的保ちながら氷が溶けていきます。もちろん早く回転させればいいということではなく、必要な回転速度というものがあります。この「決まる」という状態が②の融合だということに(私は)しています。

③の泡切りについて。ジントニックはただトニックウォーター自体がそもそも持っている泡質を楽しむのではなく、上記①②の条件を満たしてはじめてできるきめ細かい泡で楽しんでもらいたいということ。一見矛盾した行為をすることによって得ることのできるミクストドリンクの奥深さともいえると思います。
by leclub-matsuyama | 2012-06-22 19:58
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