「そのお店にお客様が一人でも来るのであればそのお店の存在は間違っていない。個人的な好き嫌いはあれど存在意義は誰にも否定できない。」
最近「お店の存在意義」「自分の向かうべき場所」についてふと考えたりします。 ご存知の通りル・クラブは「スタンダード品を(なるべく)置かない。他では飲めないもの、普段は飲まないものを楽しんで欲しい。新しいお酒との出会いを体験して欲しい」 というスタンスでこの約15年やってきました。しかし僕自身が普段プライベートで飲むものはスタンダード品です。言い過ぎかもしれませんが、恐らく誰よりもスタンダード品を愛しているのではないでしょうか。 のどが渇いたらエビスビールをがぶ飲みし、マッタリしたければギネスを飲む。家では格闘技を見ながらモエ・エ・シャンドンをコップで飲み、食事をしながらタンブラーでティオペペを飲む。BARに行けばバランタインのロックを飲み、マイヤーズのソーダ割を飲み、水割りも楽しみカクテルも楽しむ。大好きなハードロックを聞くときはジャックダニエルに限ります。モルトはオフィシャルが大好きです。 これはごく一般的なことかもしれませんが、この話をすると「僕がそれらを飲んでいる様子が浮かばない」と言われます。それはル・クラブでそのようなスタイルを貫き通しているから「スタンダードなんて飲まないだろう」と思われているんでしょう。どのように思われようが構いませんが、このようなスタンスの仕事をするためにはスタンダードと向かい合い、味わい、自分の体を通した上で「うちのお店ではこういうラインナップを」という考えになるのです。 最初は「このような売り方をするのだからスタンダードを知るべきだろう」という一心でしたが今となってはそのようなスタンダード品の楽しさにすっかり惹かれてしまっている自分がいるのです。もちろん今お店で出しているお酒たちは素晴らしいものばかりです。日本のメーカーに宣伝してもらうこともなく、ひっそりと活動をしている小さな蒸留所や醸造所にはとても美味しいものが多くあります。「有名=美味しい」ではなく「有名=宣伝力」という単純なものなのです。 そのような普段スポットライトが当たらないお酒たちを紹介するのが僕の役目だと勝手に思っていたりするのです。 そこにお店の存在意義があるのです。 もし今僕がもう一軒お店をプロデュースしたとしましょう。間違いなくそこにはスタンダード品をメインで置き、お客様には「いかにスタンダード品を美味しく飲んでもらうか」を突き詰めることでしょう。「ル・クラブの方向性はあくまでもル・クラブのあり方」であるのです。だからル・クラブを真似たお店、ル・クラブと同じ方向性のお店はもう必要ないのでは?と思うのです。アンチル・クラブは大歓迎です。 この街にはル・クラブの示す方向性が必要だと十数年前に感じたのでそれを遂行しているだけです。自分が今まで勉強して練習した結果をこの街で披露し、お酒の楽しさを知ってもらいたい。バーテンダーという仕事と飲み屋のオッサンは同じではない(ここ重要)!と証明したかったのです。僕がバーテンダーとして産声を上げた広島をはじめ東京、大阪にはル・クラブのような方向性のお店は必要ないと感じています。 色々なお店がこの街には存在し、それぞれのコンセプトで営業をしています。 「あなたのお店はこの街に必要か?」「自分のお店の存在意義は?」 と誰かに聞かれたとしましょう。僕の答えは今まで話したとおりのことです。 そしてそれを考えていくうちに自分がするべきことが分かったような気がします。 この仕事をしたい。この仕事に命をかけたい。 別にお金持ちになりたいわけではない。 決していい服を着ていい車に乗りたいわけではない。 この仕事をしたい。この仕事がしたい。 お酒を触りたい。お客様と話したい。 それは自分でも前から理解していたことです。 僕の思う「ル・クラブ」の方向性も定まり、それを遂行するのが僕の役目。 それも自分では前から理解していたことです。 ただもっと具体的に、そして抽象的に・・・ 自分がするべきことが分かったような気がします。 それはとてもシンプルなこと。 そして自分の仕事や職場や日常生活が何も変わることなく 世間の役に立つことができる。 やることは今までと全く変わらなくても 「この意識」を持ち、その意識が持続できたら僕は社会に貢献したことになる。 そこに自分のこれからの存在意義を見出しました。(決して変な宗教に入っているのではありません)
by leclub-matsuyama
| 2008-06-04 19:59
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